オススメ・・!?『つかみとる恋愛論』作者の魂の叫びを聞いて!
ある晴れた日の、都内某所。
今日は、恋愛スペシャリストでありコラムニストでありコメンテーターで自称ドリーマーのSATTY氏に、最近発売され瞬く間に大ベストセラーとなった『つかみとる恋愛論』について話しを伺った。
待ち合わせの場所に現れたSATTY氏は、春だというのにくすんだ七色のダウンベストを着込み、まるで散歩に来たおばあちゃんのような出で立ちで、まず私のハートを鷲掴みにした。
色とりどりの花に誘われるように公園に足を踏み入れ、おもむろにブランコを漕ぎ出したSATTY氏に、一抹の不安を感じながらも、私は予定されている取材を決行することにする。
『つかみとる恋愛論』はこうして生まれた
まず私は、今回SATTY氏が『つかみとる恋愛論』を執筆するに至った経緯について、尋ねてみる。
キーーーーーコ キーーーーーーーーコ・・・キーーーーーコ キーーーーーーーーコ
「簡単なことですね。自分にあてはまる恋愛論がまるでなかった、ただそれだけです。」(SATTY氏)
強気な発言に驚く私に、さらにSATTY氏はこう続けた。
「よく言われるじゃないですか。どれだけ好きな男がいても、最後は男に告白させろ・・・みたいな。なんていうんですか?恋愛のかけひきっていうんですか?男は本能で狩りをしているわけで、『自分のものにしたい!』という野生の心を呼び覚まさなければいけないとか。ね、言うでしょ、言いますよね。言ってるでしょ?」(SATTY氏)
恐ろしく迫ってくるSATTY氏の気迫におされ、私は曖昧に相槌をうつ。詳しいところは私も知らないが、男性に告白させるのが恋愛を長続きさせるコツ・・というような説は確かに存在する。
「あれ・・・もてる人の発言ですよね。そもそも。」(SATTY氏)
キーーーーーコ キーーーーーーーーコ・・・キーーーーーコ キーーーーーーーーコ
SATTY氏は、少し寂しそうに微笑むと、またしばしブランコに興じた。私は彼女の気がすむまで、振り子のようなその動きをぼんやりと眺めることにした。ブランコというのは、時にこんなにも枯れ果てた哀愁を漂わせるのか、私はそんなことを思った。
「もてる人っていうのはさ、そんなかけひきも楽しめるんですよ。別に恋愛論なんか読まなくたって、自力で勝負すればいいんですよ。撃沈したっていいじゃないですか、次がありますよ。必ず。だって、その気になれば男に告白させられるだけの女なんだから。
でも、そうじゃない女だっているわけでしょ。どんなにテクニック使おうと、気付いてすらもらえない。なんだったら、俺ら親友じゃん?とか言われる悲しい女がさ。いるわけですよ。じゃぁ、そういう女はどうすんの?って。『つかみとる』しかないでしょ。自分の惚れた男を全力で。」(SATTY氏)
のんびり待っているほどの、簡単な気持ちで惚れているわけじゃない・・と、そうSATTY氏は言った。心なしか、20歳ほど老け込んだように見える。
Dスケ氏とのエピソードについて
そんな、自称「もてない」女だったというSATTY氏も、今は恋愛をし伴侶となる男性がいる。彼女は、夫となったDスケ氏との恋愛エピソードをこの『つかみとる恋愛論』の中で語っている。そこにこんな一文がある。
ー説得で始まる恋愛もあるんですよ。by SATTY
この一般的にはあまり聞かれないセリフについて、ご本人に語ってもらおうと思う。
「まぁ・・そもそも友人だったんですよね。私とDスケさんは。音楽仲間だったんですけど、何度か一緒に遊んでいるうちに、私わかったんですよ。この人、私のこと好きなんだろうな・・って」(SATTY氏)
もてない女という割には、簡単に人の好意を信じるタイプだなと思いつつも、私は先をうながした。止めると、いろいろ面倒なことになると、直感的に感じたからだ。
「付き合ってみてもいいんじゃない、的な話しを振ってみたわけですよね、これももちろん私からですけど。当然、OK!喜んで!・・って返事が来ると思うじゃないですか。だって彼、私のこと好きなんですから。
そしたら、びっくり。いや、それはちょっと・・とかいうわけですよ。エーーーーーって。エーーーーーって、たまげちゃった。私。
次に付き合う人は、結婚とかも考えたいし、って渋るわけですよ、彼ったら。まぁそこが誠実なんですけど。とにかく、彼、私のこと別に好きなわけでもなかったんですよね。」(SATTY氏)
やはり・・と私は思った。どうやら彼女は、ズッコケて手を差し出した男性の好意を、勘違いするタイプの女性らしい。どうやらマズイ人に取材をしてしまった・・そう感じる一方で、私はその先の展開が気にもなっていた。彼女はどうやって、そこからDスケ氏と結婚するにいたったのか。そこで、率直に聞いてみた。それでどうしたのですか、と。
「説得しました。」(SATTY氏)
キーーーーーコ キーーーーーーーーコ・・・キーーーーーコ キーーーーーーーーコ
鉄の軋む乾いた音だけが、私たちの間に響いている。
「1時間、いや2時間くらいかな」(SATTY氏)
・・・その時説得した内容はこうだという。
- 結婚をするために付き合うわけではない
- この時点で付き合えないと判断するほど私の何を知っているのか
- 付き合わなければ、私の良さはきっとわからない
- 嫌いでないのに付き合わない理由はない
- 付き合って合わなければ別れればいい、どんなカップルもそうしている
そうしてDスケ氏は、その話を受け入れたという。彼の勇気に私は心か敬意を表したいと思う。しかし、その後二人は円満に愛を育み、結婚にいたり、今もなおその仲は周囲から羨まれる程だという。結果として、SATTY氏の主張は二人にとって正しかったのかもしれない。まさに彼女は『つかみとった』のだ。自分の求めるものを。
説得の裏側にこめられた想い
「私だって、彼から熱烈なアプローチ受けて、ちょっと考えさせて・・とか言ってみたかったですよ。でも、そうじゃなかったんだから、しょうがないじゃない。だからといって、彼を諦める気にもなれなかった。だから、私は全力で彼に想いを伝えたんです。
どんなにかっこ悪くても、しょうもない自分のプライドで後悔したくないじゃない。どうせ振られるなら、やるだけやってダッサダサに打ち砕かれた方が、立ち直りも早いってもんでしょ」(SATTY氏)
Dスケ氏の懐がただ深かっただけかもしれない。一つ間違えば、やや迷惑な人かもしれない。ただ私は恋愛におけるかけひき以前にある、まっすぐな気持ちの清々しさのようなものを、感じたのだ。
固く握手をしてSATTY氏と別れた後、私は悩んだ。これは一般の人に推奨してもいい恋愛論なんだろうか・・・
キーーーーーコ キーーーーーーーーコ・・・キーーーーーコ キーーーーーーーーコ
誰もいないブランコが、風にあおられて揺れている。まぁよい。こんな恋の形もあるのだ。
編集後記
こんにちは、SATTYです!
ほぼ9割私の体験談でお届けしています、今回のお話。楽しんでいただけたでしょうか?ちょっと前に撮っていた写真を見つけてちょっと遊んでしまいましたが、書いていることは、いたってマジメな本音です。ちなみに『つかみとる恋愛論』という名の本は残念ながらまだこの世にありません。
事実私は、Dスケさんを説得してお付き合いを始め、結婚して今にいたります。あの頃の話は私たちの間ではネタのようなものになっていますが、あの時頑張ってよかったなぁと思っています。不恰好でもいっちょ気合を入れて、本気を出さねばいかんこともあるんですよ、人生に一度や二度はね。
それでは今日はこの辺で。読んでくれてありがとう。
また、次のお話で。