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SATTYのDREAM LIFE!

人生はたくさんの夢と物語でできているのだ。空想と妄想がつまった私の日記。

朝7時の満員電車で目撃した7分間の物語

日常の話

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by mugley

 

ガタタン・・・ゴトトン・・・ガタタン・・・ゴトトン・・・

 

ーMonday AM7:00 東京都西武線車内

おはようございます・・朝もはようから、驚愕の満員電車です。SATTYです。

東京きてから何に驚いたって、やっぱり満員電車の混みっぷりですわ。これだけはなかなか慣れません。かといってこれ以上早く起きることもできません。ほな、どうするか?耐えましょう。耐えましょう。なに、たったの7分間です。私の駅から目的地までたったの7分。歯食いしばって、好きな歌2曲ほど思い浮かべてたら、あっちゅうまです。

あっちゅうま・・なんですけど・・ちょっと今、歌なんか歌ってる場合ちゃいます、私。なんでって、目の前の光景が、ちょっといつもと違うんですもん。

 

車内は限界120%超え程度の人の量で、みんな宙の一点を見つめながら電車が目的地にたどり着くのをじっと待っている。SATTYが立っているのは、ドア付近。かろうじてつかんだ銀色の手すりとの間には、窮屈そうにSATTYに密着するおばさまが一人。

向かい側には手すりに寄りかかるように強面のお兄さんが一人立っている。スーツのジャケットを手にぶら下げ、まくったシャツの袖口からは、よく日に焼けた太い腕がのぞく。みた感じ成績バリバリの営業マン風。でも怒らせたらちょっと、怖そうだ。

そして・・・その強面兄さん(通称:こわ兄)の頭上に謎の物体。

 

なんなん・・・めっちゃ気になるやん・・これ、なんなん。

 

説明しよう。こわ兄の頭の上に、ひょいと大きなビニール袋をかかげる若者がいるのだ。ちょうど出前のそば持ちのように、ビニール袋に入っている何かの「底」を右の手のひら一本で支えているのだ。伝わるだろうか。

若者は大学生くらいだろうか。黒縁のメガネをかけた大人しそうな男の子。かわいいおちょぼ口をキュッと閉じて、うつむいている。(通称:ちょぼくん)

 

あぁ・・ちょぼくん・・金網に荷物置かれへんかったんや・・。せやけど、なんか満員電車でギュッてなったらあかんもん、入ってるんやな。なんなんやろ、これ。なに入ってるんやろ・・サイズ的には誕生日ケーキくらいやけど、ケーキ屋の袋でもなさそうやしな・・まさか・・手作り?ちょぼくん、趣味はケーキ作りとか?ちょぼくん、将来はぱてぃしえ?・・・いや・・どやろ。どうなんやろ。

 

ガタタン・・・ゴトトン・・・ガタタン・・・ゴトトン・・・

 

・・・実は・・ちょぼくんものすごい爆弾とか持ってるんちゃうの。ちょっとでも触れたらアウト的な・・そんなん私確実にふっとぶやん・・今死にたないわぁ・・いややわぁそれ・・ちょぼくん、それはないで。頼むで。てゆうか、ちょっと触れたら誤爆するとか、その爆弾どうなん。ちょぼくん、それで優秀な爆弾職人やって言える?胸張って言えるんか?関係ない人巻き込んだらあかんで、関係ある人でもあかんやろけど。私はそう思うで・・ちょぼくん・・

 

それから想像すること数分。SATTYは異変に気付いた。ちょぼくんの右腕が小刻みに震えているのだ。前方斜め上にかかげたちょぼくんの腕が、明らかにぶるっている。そして、その頼りなさを鼓舞するように、右二の腕付近に、ちょぼくんの左手がそっと添えられた。

 

ちょ、ちょ、ちょぼくーーーん!!あんた、確実に限界きてるやん!!あ、あかんて、あかん。あとちょっとや、あとちょっとで着くから、もうちょっとの辛抱や!あんた男の子やろ!がんばり、がんばりて!今が男の見せ所やで!

 

SATTYは握りしめた手のひらが、じっとりと汗ばむのを感じた。知らず知らずのうちに、見知らぬちょぼくんを、遠い昔に生き別れた弟のような思いで見つめていた。しかし・・事態はさらに悪化する。ちょぼくんの爆弾袋は少しづつ高度を失い、なんとこわ兄の額すれすれに迫っているのだ。こわ兄は、明らかに近づいてくる異物に、チラリチラリと目線をやりだしていた。そりゃそうである。絶対邪魔だ。

 

ちょぼっちょぼっ!!あかん!あんた・・そのままじゃヤられるっっ!!そんな若さで死んだらあかん!まだ、これからまだいろんなことがあるやろ!?楽しいことばかりじゃないかもしらん、でも、人生これからやんか!・・ていうか、変に斜めやからしんどいねん!もっと上!上!上に手を上げて!ちょっと・・イヤァ!!こわ兄のツンツンヘアーに触れてもうてるやんか!

 

無言の車内が怖い。明らかにぶるぶるしているちょぼくんの右腕。その震えは体力からか、それとも恐怖からか。ちょぼくんの額には大粒の汗がにじみ、つーっと鼻筋をつたった。SATTYはあまりの緊張に、虫歯で痛む親知らずをかみしめて、泣きそうになった。

SATTYとちょぼくんの祈りを嘲るかのように、電車は徐行運転を始める。駅はもうすぐだというのに。そして非常なアナウンスが鳴り響く。

ーただいま、信号待ちをしております。信号変わり次第発車いたしま〜す。

 

イヤァーーーーー!何してんねん、今、今なぁ・・・今・・一人の少年が・・こんなにも頑張ってるんやで・・運転手さん・・堪忍したって・・・ちょぼくんを、もう、許したって・・・頼む・・頼むわぁ・・

 

ちょぼくんは、先ほどに増して虚ろな目で、ただじっと時間が過ぎるのを待っていた。その健気な姿に、SATTYは目頭が熱くなった。そうまでして、彼が守りたいものとは、一体何なのか。彼にはもう限界が近づいていた。クンと爆弾袋が揺らぎ、こわ兄の額をこすり、ちょぼくんは慌てて持ち直す。その時、ついに、こわ兄が口を開いた。

こわ兄「・・・なぁ」

(・・・ヤられる・・・!!)

こわ兄「これ・・何が入ってんの?」

(え・・!?)

ちょぼくん「あ・・あの、模型です」

こわ兄「模型か、ハハ」

ちょぼくん「壊れたら困るんで・・」

こわ兄「そうか、ハハ」

 

こ、こわ兄・・・・・・めっちゃ優しいやん・・・・。ごめん、疑って・・ヤられるとかいって、ごめん・・

ちょぼくん・・も、模型か・・そうか・・模型やったんか・・ええよ、ええんよ、そやな、大事やもんな、模型。頑張って作ったんやろな・・爆弾ちゃうかってんな・・ごめんな・・爆弾職人とかいって・・・

 

ー・・・乗車ぁありがとうございました〜・・

 ガタタン・・・ゴトトン・・・ガタタン・・・キィィィィ・・・

気付いた時には、電車は駅に到着し、こわ兄もちょぼくんもスタコラサッと改札にむかって駆け出していた。SATTYは目の前で起きたスペクタクルな7分間に、アルマゲドン以来の感動を覚えていた。なんか・・今日もがんばろ。

この世界には、人の数だけドラマがある。どんよりしたマンデーモーニングを、色付けてくれた、今朝のお話。

それでは、今日はこのへんで。

また、次のお話で。