【創作】もしも空き缶がゴミ箱で夢を語りだしたら
こんにちは。SATTYです。
土曜日がうちのエリアの空き缶回収日なんですけど、思いのほかに溜め込んでて袋いっぱいの空き缶の迫力に、ちょっとひいてしまったんですよね。
単体だと何も感じないのに、集まるとウォって思うことってないですか?私キウイの黒いつぶつぶとか、わりと無理です。タラコは大好きです。
話がそれましたが、空き缶の大群にウォってなって、「こいつら・・どこいくんやろな」と思ったら、なんかみんなこっち見てるような気になってきて切なくなったので、今日はそんな彼らの物語をお届けしたいと思います。
今日の登場人物
キリン のどごし生
口は悪いが熱いやつ。仲間が多い。
サントリー 金麦
お茶目なおてんば娘。
アサヒ スーパードライ(135ml)
ドライなカリスマ。
キリン バタフライ〜のんきに紅茶〜
突如あらわれたスーパーホープ。マイペース。
レッドブル 翼をさずける
いつも心は空を飛ぶ芸術肌。
伊藤園 ティーズティー
優しさの塊。
伊藤園 タリーズコーヒーブラック
知的な紳士。
サントリー BOSS〜トレジャーハンター〜
ボス。
本日はこの8名の精鋭が大海原へ繰り出す直前の物語。ちなみにキャラ設定は製品の味には一切関係ありませんので悪しからず。
物語『空き缶のブルース』
BOSS「いいかみんな、ついにこの時がきた。旅立ちの時は・・・もうすぐそこまで迫っている。」
レッドブル「旅立ちの朝は、いつも空が泣いている・・」
のどごし生「オレ、お前らちょー好きだった。まじで愛してたわ」
タリーズ「やめたまえ。まだ我々には残された時間がある。別れを嘆くのは早い。」
金麦「そーだよっ。」
バタフライ「僕、寝てもいいですか?」
のどごし生「ちょ、おま、ふざけんな!」
ティーズティー「まぁまぁ。」
スーパードライ「いんじゃない?好きなようにしてればさ。しょせん僕らって他人じゃん」
金麦「他人じゃないよっ。もう2週間も一緒にいたんだし、友達だよっ。」
レッドブル「友とはすなわち同じ空のもとを生きる他人・・か」
タリーズ「せっかく同じ袋の元に集ったんだ。最後の夜を、おおいに楽しもうじゃないか。」
ティーズティー「そうね、そうしましょう。」
BOSS「では、われわれの最後の夜に・・中身はないけど乾杯!」
ーそうして空き缶たちは思い思いの夜に花を咲かせる
のどごし生「オレはさ、最初にここにきたから。なんつーか、新しいやつが来るたびいろんなことを考えたんだよ」
ティーズティー「たとえば?」
のどごし生「最初に友達になったのは、金麦だったよな。マジ嬉しかった」
金麦「だよねっ。同じ第3のビールっていう共通点もあって、すぐに仲良くなったよね」
のどごし生「なんだよ、お前なんか言いたいことあるのかよ。お前・・自分が生ビールだからって見下してんのか!お前、135mlの超ミニ缶じゃねーか!」
スーパードライ「・・・」
のどごし生「なんか言えよ!ちっちぇーんだよ!」」
ティーズティー「やめなさいよ。ね。いい子だから。」
スーパードライ「馬鹿なこというなよ。君たちが出てきてから、僕らの仲間がどれだけの打撃を受けたか、知ってるのか?僕は・・・僕はビールとしての誇りを持って仲間を守るために生きている。ただそれだけだ。」
金麦「スーパードライ・・そうだったんだ・・。のどごし生、ね、謝ろうよ。スーパードライも私たちと同じ麦からできた仲間じゃない」
のどごし生「・・・」
金麦「のどごし生っ」
のどごし生「・・スーパードライ、わりぃ。オレ、お前に嫉妬してた。」
レッドブル「空は、心を洗い流す・・妬みも憎しみも」
スーパードライ「やめてくれよ」(ちゃぷん)
のどごし生「ちょ・・おま・・おま、飲み残し入ってね?ちょっ」
スーパードライ「な、何言うんだよ、入ってないよ」
のどごし生「いや、おま、ちょっ。くせー、おまえ飲み残しくせーよ。はははは、くせーおまえ。くせー。はははは。おまえも、オレといっしょ・・か。オレら、空き缶になったら、くせーんだよな。麦だもんな。ははははは」
スーパードライ「一緒にするなよ」
のどごし生「ははは、もうおせーよ。はははは。オレら仲間だわ」
パン・・・パン・・パン・パンパンパチパチパチパチ・・
タリーズ「そうさ、君たちは仲間さ。」
ータリーズが手を叩き出し、それは空き缶たちみんなに浸透する。いつしか大きな拍手が湧き上がっていた。
ティーズティー「もう、やれやれね。手のかかる子たち」
バタフライ「zzzz・・・zzzzz」
金麦「やだっ、バタフライほんとに寝てるの?」
BOSS「こいつのよさは、この度胸・・だな」
タリーズ「きっと、大物になるに違いない。」
金麦「ねぇ、バタフライは・・お酒なの?ジュースなの?」
BOSS「酒さ。ただし、1%のな。」
ー一同どよめき
スーパードライ「そうだったのか。また業界に新しい風がふくのか」
BOSS「あぁ。そうやって変化するもんだからな、我々の世界は。こいつは・・うまいぞぉ」
タリーズ「いやはや、アルコール族は活気がありますね、私たちコーヒー族も負けてはいられませんね。」
BOSS「タリーズの気品高いボディとハット(ふた)は、絶大な信頼を得ているさ。」
タリーズ「いや、BOSSの種類の多さにはかないません」
BOSS「すでに把握しきれないほどだからな」
のどごし生「BOSSがトレジャーハンターになった時は、度肝を抜かれたよ」
BOSS「ワンダに負けるわけにはいかないだろ?」
レッドブル「空と海は、互いにリスペクトしてる・・ってね」
ティーズティー「私たち、今ようやくほんとの気持ちを分かり合えたのかもね」
タリーズ「君のおかげさ、ティーズティー。君はいつも私たちを優しく包んでくれた」
ティーズティー「そんな・・・」
金麦「ティーズティー、赤くなってるっ」
ティーズティー「な、なってないわ」
タリーズ「今度出会ったら、君と二人で紅茶とコーヒーを混ぜた飲み物を作ろう」
ティーズティー「コーヒーティーかしら・・それとも・・」
タリーズ「なんでもいいさ。ただし、ミルクは多めでね」
ティーズティー「・・・はい・・」
金麦「きゃーーーっ」
のどごし生「おいおいおい、続きは後にしてくれよな」
レッドブル「空の色は、恋の始まりとともに赤くなる・・・」
BOSS「・・・夜明けが近いな」
金麦「・・うぅ・・ぐすんぐすん。別れたくないよぉ・・だってわたしたち・・ぐすん・・s@pげwぁk」
のどごし生「泣くんじゃねーよ、金麦。泣くなよ・・うぅ」
スーパードライ「僕たちは、溶けて一つになって、また生まれ変わるんだろ」
BOSS「あぁ、そうだ。アルミもスチールも関係ない。同じ・・鉄だ。さぁ時間だ。行こう、新しい世界へ。出港ーーーーーーーーー!!!!」
夜があける。大きな大きな車が、彼らを飲み込み、走り去っていった。彼らが語ったこの夜を、まだ誰も知らない。
あとがき
土曜日、ちゃんとゴミ出せるかな・・・
それでは今日はこのへんで。
また、次のお話で。