西荻窪でお一人様グルメ紀行。『フレンチカレーSPOON』のオリジナルカレー
食は万里を越える、どこかの誰かがそう言っていた。王将超好き。
今日も胃袋にこんにちは。SATTY@グルメレポーターです。
本日訪れるお店は、西荻窪にあるカウンター11席だけのカレー屋さん『フレンチカレーSPOON』。さぁ、束の間の食紀行をお楽しみいただこう。
カレーと空腹の相性
ものすごくとてつもなく腹が減った時に、食べたくなるものとは何だろう?私は迷わずカレーライスと答えたい。今日はカレーだな、と脳が反応したとき、それ以外の選択肢はだいたいが出番を失うものだけど、私の場合、脳に合図を送っているのは空っぽの胃袋だと思っている。
空腹の胃袋に流し込まれるスパイスのファンタスティック・イリュージョン。訳すると、たまんねぇ、うまい。鼻から感じる刺激は食欲を最大限に引き出し、やつらは完全にその欲求を満たしてくれる。
家庭の味ももちろんたまらないけれど、手をかけて育てられたお店のカレーも素晴らしい。ここのシェフさんは、どんな手をつかって楽しませてくれるわけ?誰にでも作れる一皿だからこそ、料理人の腕がためされるもんだ。
フレンチカレーSPOON
さて、西荻窪にある小さなカレー屋『フレンチカレーSPOON』は、少し小洒落た店である。ガラス越しに見える店内には、カウンターのみ。年配の夫婦や、女性2人組がワインを片手にカレーを楽しむ姿がうかがえる。
正直いって、お一人様初心者さんには、やや難易度が高い。そもそも「カウンター」×「フレンチ」という組み合わせが敷居をあげる。ただこの組み合わせが女心にヒットするタイミングというものもある。おそらくこの日は、西荻窪というシチュエーションがそうさせた。
一人歩くはじめての街。のんびりと喫茶店で戯れた文庫本に描かれた日常。夕暮れが迫る赤紫色の空。そのすべてがこう言う。下手なもん食べて帰るんじゃぁないぞと。
ちょっとだけ贅沢で、お一人様の夜を満たしてくれる、今日という日の終わりにふさわしい食事。それが今日の『フレンチカレーSPOON』。
お一人様、おもてなしします。
店内に入ると、お一人様の不安はたちまち消える。カウンターの中から、落ち着いた笑顔を向ける店員さんたち。気持ちのいい食事は、気持ちのいい店でこそ味わえる。
おそらくかなりお一人様を歓迎してくれる店だろうと思う。ふらりと立ち寄って、お酒とカレーと、ちょっとおしゃべりを楽しんで帰りたくなるような、そんな雰囲気。
丁寧に説明してくれる店員さん、普段より少しだけ笑いかけたくなるもてなし。決して広い店内ではないけれど、ギュっとつまった感じがまた居心地よい。
大人とオードブル
このお店の特徴は、本格的なオードブルを楽しめるところだ。季節のスープ、白レバーのムース、フォアグラのフラン。フレンチ出身のシェフによる前菜たちは、見た目にも美しく、かなり気合の入ったそろえぶり。ちょっと気取って「いい気持ち」になりたい時には、ぜひオススメしたい。
私がチョイスしたのは、『トマトのムースとレモンのジュレ(¥790)』。グラスに盛り付けられたそれは、なんとも涼やかで、よく冷えた透明なグラスごしに鮮やかなトマトの赤がそそる。
一口・・・・・・んふ、うまい。
レモンジュレは優しい酸味であっさりと溶ける。そしてその下にあるトマトムースは滑らかで少し濃厚。ねっとりと舌に絡みつく。
お一人様が、カウンターでオードブル。大人の階段、3段くらい登った瞬間。
よくできた前菜は、その後のメインディッシュへの期待感をいやが上にも高めてくれる。
フレンチカレーは気が強い
ついにおでましの看板メニュー『フレンチカレー(¥930)』。ちなみに2/3サイズ(¥730)も用意されているのが嬉しい。オードブルを楽しみたいならこのサイズがちょうどいいあんばいだろう。
カレーのてっぺんでテカテカと光っているのは、牛肉の赤ワイン煮。ホロホロというか、トロトロというか、ホリュハラ・・ハヒン、という感じに解けていくほど柔らかい。ご飯は13穀米、好みで白米にも変更できる。
想像していたフレンチカレーは、どちらかというと濃厚甘めだったのだけれど、あなどるなかれ。これがなかなかのスパイシー娘。コク深いが、香りが立つシェフの味。なかなか家庭では再現できそうにない。いい意味でかなり癖がある個性的な仕上がりだ。
前菜でクリーミーに潤った舌先に、ビシっと攻めてくる気の強さ。・・すき。
ゆっくりと口に運び、しっかりと噛みしめ、ちょっと斜め上あたりを眺め、ほどよい人の賑わいを感じる。
今・・贅沢な時間、流れとるやん・・。
『フレンチカレーSPOON』の、プチ贅沢ディナー。
ごちそうさまでした、また来ます。
本日のお店
フレンチカレーSPOON